死亡後に必要な手続きとスケジュールについて

親しい方が亡くなられると、遺族の方々は心身ともに疲弊・憔悴する中でお通夜・お葬式の他にも様々な手続きを行わなければなりません。

身近な人の死は生涯のうちに何度も経験するものではありませんので、その際にどのような手続きが必要になるのかは知らなくて当然ですが、中には手続きに期限が定められているものもあります。

そこで今回は、親族等が亡くなられた時にどのような手続きをいつまでに行わなければならないのかについて解説します。

目次

1.法律で期限が定められている手続き

人が死亡した際に行わなければならない手続きは様々ありますが、2023(令和5)年4月1日現在施行されている法律で期限が明確に定められている手続きは次の4種類です。

①死亡届/住民異動届(世帯主変更届)の提出

最初に行わなければならない手続きが死亡届の提出ですが、死亡の事実を知った日(亡くなった日)から7日以内に亡くなった方の死亡地等の自治体へ届出なければなりません。

【届出先】 亡くなった方の死亡地や本籍地、又は届出人の住所地の市区町村役場
【届出人】 同居親族、その他の同居者・親族、後見人等 
【提出期限】 死亡の事実を知った日(亡くなった日)から7日以内 
【添付書類】 死亡診断書(もしくは死体検案書) 

また、亡くなった方が世帯主であった場合で遺された世帯の新しい世帯主が明らかでない場合は、住民異動届(世帯主変更届)を変更があった日(亡くなった日)から14日以内に届出人の住所地の自治体へ届出なければなりません。

 【届出先】 届出人の住所地の市区町村役場 
 【届出人】 新しい世帯主、その同一世帯の家族等
 【提出期限】 変更があった日(亡くなった日)から14日以内 
 【添付書類】 本人確認書類 

②相続放棄/限定承認の申述

相続人が亡くなった方(被相続人)の遺産を相続したくない場合(相続放棄)や相続財産の範囲に限定して債務を承継する場合(限定承認)は、相続の開始があった(被相続人が亡くなった)ことを知った日から3か月以内に被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所にその旨を申述しなければなりません。

【届出先】被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所
【届出人】相続を放棄する相続人(相続放棄)/相続人全員(限定承認)
【提出期限】相続の開始があった(被相続人が亡くなった)ことを知った日から3か月以内
【添付書類】該当する相続人の戸籍謄本、被相続人の除籍謄本等

③所得税等の準確定申告・納付 

被相続人が個人で事業を営んでいた場合や給与以外の所得が20万円以上あった場合で所得税の確定申告を行う必要がある場合は、被相続人に代わって相続人が相続の開始があった(被相続人が亡くなった)ことを知った日から4か月以内に被相続人の住所地を管轄する税務署に所得税の準確定申告書を提出し、税金を納付しなければなりません。

これは所得税のみならず、被相続人に消費税の申告義務がある場合についても同様です。

【申告先】被相続人の住所地を管轄する税務署 
【申告人】相続人 
【課税期間】亡くなった年の1月1日から亡くなった日までの期間
【申告期限】相続の開始があった(被相続人が亡くなった)ことを知った日から4か月以内
【添付書類】死亡した者の所得税等の確定申告書付表(兼相続人の代表者指定届出書)等 

④相続税の確定申告・納付 

被相続人に一定の相続財産があり相続税額が生じる場合には、相続人が相続の開始があった(被相続人が亡くなった)ことを知った日から10か月以内に被相続人の住所地を管轄する税務署に相続税の確定申告書を提出し、税金を納付しなければなりません。

また、相続税額が生じない場合であっても『配偶者の税額軽減』『小規模宅地等の特例』など各種特例の適用を受ける場合には申告が必要になります。

【申告先】被相続人の住所地を管轄する税務署
【申告人】相続人 
【申告期限】相続の開始があった(被相続人の亡くなった)ことを知った日から10か月以内 
【添付書類】被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍謄本等 

2.その他の実際には必要となる手続き

上記のように法律で期限が定められているわけではありませんが、出来る限り速やかに行わなければならない、あるいは行った方が良い手続きとして次のようなものがあります。

自治体へのその他の届出

遺体の火葬や埋葬を行うためには市区町村長の許可が必要になります。そのため、前述の死亡届や住民異動届と合わせて同じ市区町村役場で『死体火(埋)葬許可証』の交付申請を行って発行してもらわなければなりません。

各種給付の支給を受けるための手続き

亡くなった方に関連して遺族の方が受け取ることができる以下のような各種給付がありますので、支給を受けるためには所管する各機関に請求手続きを行う必要があります。

葬祭費・埋葬費

通常、葬儀や埋葬に要した費用の一部を助成してもらえますので、亡くなった方が個人事業主の場合は市区町村役場(国民健康保険課)に、給与所得者の場合は勤務先又は年金事務所に所定の申請書で請求します。

高額療養費

亡くなった方の所得に応じて生前に要した療養費の一部を負担(返納)してもらえる場合がありますので、亡くなった方が個人事業主の場合は市区町村役場(国民健康保険課)に、給与所得者の場合は健康保険組合又は年金事務所に所定の申請書で請求します。

公的年金等

年金を受給している方が亡くなった場合、それ以後その方が年金を受給する権利は消滅しますが、年金は2か月単位で纏めて支給されることになっているため、亡くなられるまでの間で未支給のものがある場合は市区町村役場(国民年金課)又は年金事務所に請求することで遺族が代わりに受け取ることができます。

尚、一定の要件を満たす場合に遺族に支給される「遺族年金」がありますが、亡くなった方が加入していた年金の種類や遺族の状況によって受給できる給付金が異なりますので、詳しくは市区町村役場(国民年金課)又は年金事務所に確認することが良いでしょう。

生命保険金・死亡退職金等

亡くなった方が生命保険(死亡保険)に加入していた場合は死亡保険金が支払われますので、保険会社等に保険金受取人が請求手続きを行います。

また、亡くなった方が会社の役員・従業員であった場合は会社から遺族に死亡退職金や弔慰金が通常支払われますので、勤務先が定める規程に従って請求手続きを行って下さい。

各種サービスの解約や資格証の返納

この他にも、亡くなった方が生前に利用していた次のような各種サービスの解約や各種資格証の返却・返納を行う必要があります。

  • 公共料金(電気・ガス・水道・電話等)の解約又は名義変更
  • 健康保険証・介護保険証等の返却
  • 運転免許証・パスポート等の返納
  • クレジットカードの解約 等

3.遺産を相続するための手続き

更に、被相続人に遺産がある場合で、特に遺言等で財産の所在や誰が何を相続するかについて明らかになっていない場合には、以下の手続きも並行して行っていく必要があります。

一部を除いて特に時間的な制限はありませんが、先の法定手続きとの関連を考えると①~②については3か月以内、③については10か月以内に終えておくことが望まれます。

①相続人の特定

まず、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等を本籍地の市区町村役場から取り寄せて、被相続人の法定相続人が誰になるのかを特定し、可能であれば『相続関係図』を作成します。

②相続財産・債務の調査

次に、被相続人の自宅等に保管されている預貯金通帳や不動産の権利証・登記簿謄本、株式等の年間取引報告書、生命保険の保険証券などの書類を収集し、被相続人が亡くなられた時点の財産・債務を調査して『財産目録』に整理します。

③相続人間での遺産分割協議

その上で、どの財産(又は債務)を誰が相続するのかを相続人全員で協議して、決定した内容を『遺産分割協議書』として書面に纏めます。

④相続財産の名義変更

そして『遺産分割協議書(又は遺言書)』の内容に基づいて、相続により財産を取得する相続人が各金融機関や法務局等に名義変更の手続きを行います。

尚、このうち不動産の名義変更(相続登記)については、2024(令和6)年4月1日以降は相続の開始により所有権の取得を知った日から3年以内(それ以前に相続したものは2027(令和9)年3月31日まで)に行うことが法律で義務化されました。

最後に

このように、親族等が亡くなられた時に遺族の方々は限られた時間の中で様々な手続きを行っていかなければなりません。中には期限が決められているものもありますので計画を立てて手続きを進めていく必要があります。

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